ご家族が歩んできた温かい記憶を、少しの傷みもなく残したい。その一心で、カレンダーに印をつけ、お天気を気にしてクローゼットを開ける。
その細やかな愛情は、本当に素晴らしいものです。
ですが、大切な品々を守るためのお手入れが、結果として、今目の前で笑っているお子様と過ごすはずだった休日の数時間を、少しずつ静かに奪い去っていることにお気づきでしょうか。
カビから思い出を守り抜く、あなたの深い愛情
箱を開けて風を通す、その細やかな気遣いについて
お子様が初めて履いた小さな靴。ご両親から大切に引き継いだお着物。
人は、時間や手間をかけて守り抜いてきたものに対して、とても強い愛着を感じる生き物です。
温かい記憶を手放したくないという思いが強いほど、お家の中には少しずつダンボールの箱が増えていきます。
季節の変わり目に必ず箱を開け、湿気を逃がして風を通す…。そのひとつひとつの手作業は、ご家族への深い愛情の証明に他なりません。
決して誰にでもできることではない、尊いお心遣いです。
完璧な状態を目指すほど、休日が削られる仕組み
お天気に合わせたスケジュール作りがもたらすもの
お部屋の中でご家族がのびのびと手足を伸ばし、大きく深呼吸できる空間を保つためには、湿度が40から70パーセントの間であることが必要です。
しかし、普通のお家でこの数字を一年中完璧に保つことは、とても難しいことです。
雨が降るたびにクローゼットの中を気にかけ、防虫剤を新しく買い直す。大切な思い出をご自身の手で守り続ける、その休みのない役割を背負うことで、本来ならお子様と笑い合えたり、静かに休息できたりするはずだった貴重な時間が、少しずつ静かに削られてはいないでしょうか。
窓を開けることで起こる、見えない温度の波
お部屋の温度が20度から24度の心地よい範囲から外れると、人はどうしてもそわそわしてしまうものです。
お天気に合わせて急いで窓を閉めたり、箱の様子を見に行ったりする回数が2倍に増えてしまうことも、決しておかしなことではありません。
箱の中の品物を守ろうと窓を開けて風を入れる優しい行動が、結果としてお部屋の温度を大きく変えてしまいます。
その結果、「あっちの箱をこっちに動かそう」と頭の中で何度もパズルを解くうちに、ゆっくりお茶を飲む時間がなくなってしまう状態に陥ります。
そしてそれは、夕方にご家族へ優しく声をかけるための、心のエネルギーがすり減っていくことにつながっているのです。
湿度管理というお仕事を手放した、私の新しい選択
離れに預けることで生まれる、新しい安心のカタチ
1日中いつでも、温度と湿度がいつも一定に保たれている外部の設備に管理をお任せすることは、決して愛情を諦めることではありません。
急激な温度の変化から大切な品を守り、ご家族の歩んできた歴史をありのままの美しい姿で残しておくための、とても理にかなった安全な選択肢の一つです。
雨音を聞きながら、温かいコーヒーを飲む休日のために
お子様が何かに夢中になったり、ご自身が深い休息をとるためには、視界に余計なものが入らないすっきりとした空間をつくることがとても大切です。
積み重なった箱を安全な場所へ移し、床に広い余白を取り戻すことで、お子様が自由に手足を伸ばし、あなた自身も穏やかな呼吸を取り戻せるようになります。
お天気から自由になる休日を選ぶか、箱の様子を見守り続けるか
私はかつて、あなたと同じように愛情ゆえに時間を削られ、そして今は、外部の安全な環境へ思い出を預けることで、雨の日でもゆっくりとコーヒーを味わえる休日を取り戻しました。
これからも、本来ならお子様と遊べるはずの床の広さを、四角い箱に譲り続ける日々の終わりを先延ばしにし、お天気に合わせて休日の予定を組み直す日々を続けるでしょうか。
それとも、思い出の保護を相応しい場所へバトンタッチし、今を生きるご家族との穏やかな時間を真ん中に置く暮らしを選ぶでしょうか。
どちらの道を選ぶのかは、あなた次第です。