子どもたちが学校へ行き、静かになった午前中のリビング。淹れたてのコーヒーの香りに包まれながら、私は今、この文章を書いています。
足元の広々としたフローリングには何一つモノがなく、窓から差し込む明るい日差しが部屋の隅々まで届いています。
基本データ
- 名前:湊(みなと)
- 年齢・家族構成:42歳。配偶者と、やんちゃ盛りの子ども2人(10歳・7歳)の4人家族です。
- 職業:在宅ワーカー(デザイン関連)
- 現在の状況:過去の大切な品々を「外部の離れ(アーカイブ)」へ移すことで、リビングに何もない、家族がのびのびと寝転べる空間を取り戻しました。
かつての私を縛っていた「正しい努力」
- 子どもが初めて履いた小さな靴
- 一生懸命作ってくれた不格好な工作
- 両親から引き継いだ大切な着物
私はそれらをすべて、手の届く家の中に置いておくことこそが、親としての責任であり、最大の愛情だと信じて疑いませんでした。
モノを大切にするという「正しい努力」を重ねるほど、クローゼットは隙間なく埋まり、部屋の隅には段ボールがうず高く積まれていきました。
休日のたびに収納パズルと格闘し、子どもが少し走れば「棚にぶつかるから走らないで」と叱る日々…。
愛情の証であるはずの大切な品々が、気づけば私たち家族の今の生活空間を窮屈に縛り付けていたのです。
本来の自分を取り戻すまでの試行錯誤
今のこの何もない穏やかなリビングを取り戻すまで、私は良かれと思って多くのものを犠牲にしてきました。
カビや虫食いを恐れて定期的に買い替えた防虫剤。サイズ違いのプラスチックケースを何十個も買い足した費用。そして何より、週末のたびに箱をひっくり返しては「どうやって綺麗に収めるか」ばかりを考えていた膨大な時間。
大切な過去の品を守るための「無給の管理人」として、自分自身の休息や、目の前の子どもたちとただ笑い合うための時間を、私は何年も削り続けていたのです。
しかしある時、愛情の対象を「過去の品物」から「今の家族の笑顔」へと少しだけ広げ、思い出の品を丸ごと適切な環境へ委ねるという選択肢に出会いました。
その日を境に、私はようやくその重い荷物を下ろすことができたのです。
この記録を残す理由
家族の尊い軌跡を、一つひとつ丁寧に保管し続けているあなたの愛情は、本当に素晴らしいものです。それは決して、誰にでもできることではありません。
だからこそ、同じように悩み抜いた一人の実践者として、静かに問いかけさせてください。
あなたはこれからも、過去の大切な記憶を守るために、今を生きる家族がくつろぐ空間の余白を少しずつ譲り続ける日々を選びますか?
それとも、思い出の保護をそれに相応しい環境へ委ね、現在の家族が大きく手足を伸ばして深呼吸できる、豊かで穏やかなリビングを取り戻しますか?
この記録が、あなたが本来の自分らしい日々を取り戻すための、ひとつのきっかけになれば幸いです。